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俺の家には代々犬を飼っている。犬のいない生活は物足りない。
もちろん、犬にも寿命はあるので、何度と無く悲しみもあったが新しい犬との出会いが悲しみを埋めてくれていた。 高校時代。野球部だった俺は1年の夏からレギュラーを獲れた。初戦は前年の秋の大会でBest16に入ったシード校だった。結果、勝利した。その試合で4打数3安打打点2の活躍をした俺は、翌日の地方紙(S玉新聞)に取り上げられた。たかがか、地方大会の1回戦だったが、地方紙に取り上げられた事によって母校では担任を含めた各学科の先生から激励をもらった。また、両親にも喜んでもらった。 その当時も勿論、犬を飼っていた。我家では初めて飼った黒毛だった。ポッチャリした風貌も合わせて、「ブック」という名を付けた。俺は「ブー」と呼んでいた。 ブーは俺が野球をしている事は知らない。勿論、活躍していようがいまいが知った事ではない。彼にとっては散歩に連れて行ってくれたり、食事を与えてくれたりする俺に興味があるだけだ。 次の試合で惜敗した。俺は3打数無安打だった。1試合目で喜んでくれていた方々は来年頑張れといってくれた人もいたが、大抵の人は何事も無かったかのようだった。 家に帰ると、3打数無安打の俺にもいつものように散歩をねだる「ブー」が尻尾を振って出迎えてくれた。 1ヶ月ほど前、「H幸!!」という大声で起こされた。お袋が俺の部屋に入ってきて俺宛の封書を持ってきていた。よくありがちな、投資関係の会社からのどうって事の無いものだった。 「いらない、捨てといて」と言って再び寝ようとした。 「違うよ!ほら、このあて先見て御覧!!」そこには ○○○○株式会社 △△ □□□ U竹H幸 様」と書かれてあった。だからどうした!と思ったが、 「あんた、△△ □□□になったの?」と興奮気味に話すお袋。△や□に入る文字は、俺の会社での役職だ。「いつから?」「何で言わなかったの?」「E美子ちゃんは知ってるの?」と立て続けにまくし立てた。 息子の社会的な地位が向上した事が嬉しいらしい。俺にしてみればどうでもよいことなので云わなかったのが良くなかったのか?だからといって、俺の選手が遠征に選ばれたり、中学記録や高校記録を樹立したときには喜んでくれていなかった。俺にしてみればそれよりは重要な事ではないので報告する必要は無いと思っていた。 俺は「言わなかったっけ?ごめん、ごめん」と謝った。母親の喜んでいることに変わりは無い。喜んでくれる母親には感謝しなくてはいけない。 |
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